親にも燃え尽き症候群があるって、ご存じですか?
子どもを完璧に育てようと頑張りすぎて、重度の消耗状態に陥ってしまった親のことを指します。
人類の歴史上、以前は親になるのは平凡なことでした。
しかし、ここ数十年の間に社会のありかたが急激に変わり、子育ての正解も一つではなくなりました。
このような時代背景の中、親の「燃え尽き」という概念が登場したのです。
親の燃え尽き症候群は、子どもに深刻な影響を与えます。
それまで善良だった親が、子どもに対して暴力を振るうようになったり、育児放棄したり、現実逃避したりするようになるからです。
この病気に関する最近の研究のサマリーをシェアします。
2021年、ベルギー ルーヴァン・カトリック大学のイザベル・ロスカム教授を筆頭著者とする、親の燃え尽き諸侯群の有病率の違いを国別に調べた研究結果が発表されました。
研究には、経済的・文化的な指標が異なる世界42カ国の17,409名(母親12,364名、父親5,045名)の親が参加しました。
参加者に同じ尺度を用いて、燃え尽き症候群の有病率を調べました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、燃え尽き症候群の親は、次のような意見に同意する傾向がありました。
- 親としての自分の役割に完全に疲れた
- 子どもと一緒にいるのが楽しくない
- 子どもに愛情を示すことができない
2、親の燃え尽き症候群の有病率には、国によって大きな違いがありました。
3、有病率が高かったのは、カナダ、アメリカ、ベルギー、フランス、スペイン、スイスなどの西洋諸国でした。
4、逆にトルコ、イラン、日本、中国、タイでは有病率が低くなりました。
5、個人主義の強い欧米では完璧主義の文化が育まれており、子育ては非常に孤独で、親に大きなプレッシャーを与えています。
6、これを解決するには、コミュニティの中で親同士が助け合う文化を復活させる必要があります。
7、親は自分をケアすることが子どものためになることを理解し、ひどく疲れた時には助けを求めるべきです。
出典:Affective Science
https://link.springer.com/article/10.1007/s42761-020-00028-4
研究では、燃え尽き症候群は個人主義の強い欧米文化が要因とされ、日本は有病率が低いとされていましたが、大丈夫とは思えません。
日本で仕事も家事もこなしながら育児をするのは、あまりに多忙ですから。
周囲に気軽に相談したり、助けを求めたりする時間すら無いケースは、珍しいことではありません。
責任感が強く優秀な人ほど、自分一人で何とかしようと頑張ってしまいます。
子どもへの愛情ゆえに親は必死になるものですが、その真面目さが裏目に出るなんて辛すぎます。
子どものために尽くすのは親としての喜びですが、正直、しんどい時もあります。
子どもを大切に守り育てるためには、まず親自身が自分を大切にしなくては。
親として大切なのは、完璧な親になることではなくて、子どもを幸せにすること。
だったら忙しい日々の中でこそ、上手な息抜きを工夫したいものです。
↓いいね を押していただけますと励みになります。