大人になったのだから、子どもの頃と比べて脳の記憶力が衰えるのは仕方ない、と考えるのは寂しいものです。
以前は、人間の脳を調べても未発達な神経細胞が見当たらないことから、脳は他の臓器と違って再生しないと考えられていました。
ところが今から20年ほど前、脳内でも例外的に新しい神経細胞が生まれていることが発見されました。
それは、脳の「海馬」と呼ばれる器官の入り口付近にある、「歯状回」という場所でした。
最近の研究によると、その「歯状回」では、高齢者であっても若者と同じくらい、毎日若い細胞が生まれ続けているそうです。
サマリーをシェアします。
2018年、 アメリカ コロンビア大学のモーラ・ボルドリーニ博士を筆頭著者とする、加齢による脳機能の変化を調べた研究結果が発表されました。
研究では、14歳から79歳までの、突然死した28人の脳を調べました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、海馬にある「歯状回」の体積は、年齢に関係なく同程度でした。
2、79歳の脳の「歯状回」でも、若者と同程度の新しい神経細胞が安定的に生成されていました。
3、その一方、高齢者の脳内では、血管や神経の回復力に衰えが見られました。
4、認知機能の衰えは、回復力の低下と関連があるかもしれません。
5、今後は、健康的な加齢を促進するための運動、食事、医薬品についても検討する必要があります。
6、そうなれば、人間の認知機能は、生涯にわたって維持される可能性があります。
出典:Cell Stem Cell
脳の「歯状回」で生まれている細胞の役目は、細かな違いを見分け、新たな記憶を作ることではないかと考えられているそうです。
だから私たちは、毎日新しいことを学んでいけるのですね。
ところが、加齢による血管や神経の回復力が弱まることで、記憶力が衰えているのかもしれないとのこと。
研究では運動や食事などの生活習慣を適切にすることで、回復力の衰えを減らせる可能性が示唆されていました。
そんな脳の研究がますます進んでいけば、高齢になっても脳の記憶をしっかり保ったままでいることが可能な時代がやってくるかもしれません。
もしそうなった場合、脳だけでなく、肉体も精神も共に健康でありたいものです。
忙しい毎日が続くと、つい自分のことは後回しにしてしまいがちです。
ですが、老後はなるべく我が子のお荷物になりたくないし、ちゃんと子供の成長も見届けたいもの。
親としての役目をまっとうし、健康に年を重ねられるよう、今のうちから良い生活習慣を心がけたいですね。
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