昨今、家庭内での深刻な子どもへの虐待が、大きな社会的問題になっています。
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身体的虐待
精神的虐待
性的虐待
ネグレクト
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このような深刻な虐待は心の深い傷になるだけでなく、後の人生においても、うつ病、不安症、身体的問題、学習成績の低下など、様々な悪影響を及ぼすことが知られています。
一般的に、これらの虐待と、次にあげるような強制的な育児とは別物と考えられています。
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しょっちゅう怒る
大声で怒鳴る
強く揺さぶる
体を叩く
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このような強制的な育児は躾の一環と考えられていますが、深刻な虐待と同じような悪影響を子どもに及ぼしていることが、研究で明らかになりました。
サマリーをシェアします。
2021年、カナダ、ケベック大学 トロワ・リヴィエール校のサブリナ・スフレン博士を筆頭著者とする、強制的な育児と脳の発達との関わりを調べた研究結果を発表しました。
研究には、12歳から16際までの子ども達94名が参加しました。
彼らに2歳から9歳の間に受けた育児が強制的なものであったかどうか、それが頻繁であったかどうか、不安を感じていたかどうかを尋ねました。
また、彼らに脳スキャンを行いました。
今回の研究には、性的、身体的、精神的虐待など、深刻な虐待を受けた子どもは含みませんでした。
結果、次のようなことがわかりました。
1、2歳から9歳の間に強制的な育児を頻繁に受けた子どもたちは、深刻な虐待の被害者に見られるのと同じように、脳の一部が萎縮していました。
2、それは前頭前夜と扁桃体と呼ばれる部位で、感情のコントロールに関わっており、うつ病や不安症の発症に関連があると考えられています。
3、強制的な育児が頻繁に行われると、子どもは深刻な虐待の被害者と同じようなストレスや不安を感じていました。
4、世界中の親が強制的な育児を普通だと考えているのは残念なことです。
5、厳しい育児を頻繁に行うことで、子どもの脳が変化するだけでなく、社会的、情緒的な発達にも悪影響を及ぼすことについて、親や社会の理解が必要です。
出典:Development and Psychopathology
子どもの虐待は深刻だけれど、自分たちにはあまり関わりの無い問題だと思っていました。
ところが、強制的な育児スタイルも、虐待と同じように子どもを傷つけていたのです。
子どもを厳しく躾けるは親の務めと思っていましたが、心理学の研究ではそうではありませんでした。
知らなかったとはいえ、残念な事実です。
今になって振り返れば反省することばかりですが、せめてこれからは改善していきます。
じゃあ、一体何が正しいのかについても、調べてみますね。
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