日本人の平均寿命が伸び高齢化が進展するに伴って、認知症の人数も増加しています。
「もしも、身近な人、あるいは自分自身が認知症になってしまったらどうしよう?」
そんな不安が頭をよぎることもあります。
実は老後の認知機能の衰えには、高齢になるずっと以前からの、心の健康状態も関係しているそうです。
若い時のうつ病や不安症の経験が多いほど、老後に認知症を発症するリスクが高まるとの研究があります。
サマリーをシェアします。
2019年、イギリス、ロンドン大学のアンバー・ジョン博士を筆頭著者とする、長期間にわたるうつ病や不安症が認知機能に及ぼす影響に関する研究結果が発表されました。
この研究では、イギリスで1958年に生まれた18,558人の赤ちゃんを対象に、追跡調査が行われました。
参加者が11歳の時点で、幼少期の認知や家庭環境について調べました。
参加者が23歳、33歳、42歳、50歳になった時点で感情面の健康度を調べました。
参加者が50歳になった時点で、記憶力、言葉の流暢さ、情報処理速度、正確さを測定しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、うつ病や不安症を1回経験しただけでは、その後の人生にほとんど影響はありませんでした。
2、しかし、20代、30代、40代のうちに2〜3回のうつ病や不安症などの経験があると、50代になってからの記憶機能の低下につながることがわかりました。
3、人生の早い時期に精神的な健康問題を抱えていた人ほど、その後の人生での記憶障害のリスクが高くなっていました。
4、成人期の30年間、長期にわたって抑うつ症状が続くことが、中年期における記憶力低下の重要な予測因子であることが明らかになりました。
5、心の健康を維持する取り組みは、うつ病や不安症の再発リスクを減らし、加齢による認知機能の低下を遅らせる可能性があります。
出典:The British Journal of Psychiatry
つまり、認知症の予防には、子ども時代や若年期のうちから、心の問題を我慢して耐えるのではなく、適切な対処をすべきということ。
それにより、将来的な記憶障害や認知症のリスクを軽減できる可能性があります。
親として将来子どもに迷惑をかけないためにも、日頃からストレスを溜めないよう気をつけなくては。
ストレスへの適切な対処方法には、瞑想や運動のほかに、友人や家族との良好な人間関係の維持があります。
親や家庭の環境が、子どもの人生全体に及ぼす影響は大きいですね。
子どもが何歳になっても、親は安全地帯でありたいし、帰れる居場所でありたいものです。
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