兄弟はよく喧嘩をするもの。
喧嘩をするほうが自然で、仲の良い証拠。
↑世間もそんな風に考えて、兄弟喧嘩を大袈裟にとらえない風潮があります。
確かに、兄弟が同じ土俵に立って、対等な関係で張り合っているうちは普通の兄弟喧嘩に見えます。
しかし、互いの立ち位置が上下に別れ、どちらかが一方的に攻撃され、他方がその苦痛を見て喜んでいるような場合には、兄弟であってもいじめと判断せざるを得ません。
兄弟間のいじめに巻き込まれると、大人になってから精神病性障害のリスクが3倍になるそうです。
精神病性障害とは、幻想、妄想、偏執的な思考、まとまりのない行動など、現実離れした状態になることを言います。
研究のサマリーをシェアします。
2018年、オーストリア、ウィーン大学のスラヴァ・ダンチェフ博士らを中心に行われた、兄弟姉妹間のいじめと精神病性障害に関する研究結果が発表されました。
研究では、イギリスの3,596人の兄弟姉妹を持つ子ども達を対象に、7歳から12歳までの6年間にわたり、追跡調査を行いました。
毎年1回の面接、心理テスト、身体テストに加え、12歳の時点で、兄弟姉妹間のいじめに関する詳細なアンケートに答えてもらいました。
また、平均年齢17.5歳の時点で、精神病性障害についてのテストを受けてもらいました。
結果、次のようなことが分かりました。
1、対象者の664人が兄弟姉妹間のいじめの被害者で、486人が純粋ないじめっ子で、771人がいじめっ子と被害者の両方を兼ねていました。
2、週に数回、兄弟姉妹間のいじめを受けていると報告した子どもは、18歳の時点で精神病的障害を発症するリスクが3倍になりました。
3、週に数回、兄弟姉妹をいじめたと報告した子どもも、18歳の時点で精神病的障害を発症するリスクが3倍になりました。
4、兄弟姉妹間のいじめに加えて、学校でも仲間からいじめを受けていると報告した子どもは、18歳の時点で精神病的障害を発症するリスクが4倍になりました。
出典:学術誌「Psychological Medicine」(2018)
いじめを受けた側だけでなく、いじめた加害者側も、精神病的障害の発症リスクが3倍になるとは意外です。
学校のいじめは教員やスクールカウンセラーが介入しますが、家庭のいじめは親しか対応できません。
もし、親が問題を放置すれば、将来、深刻な結果をもたらす可能性があります。
一般的に、兄弟姉妹はもっとも近しい関係であることから、もっとも強固な絆を築き支え合えるもの。
その反面、互いにもっとも弱みを握っている関係でもあることから、もっとも深く傷つけられるケースもありえます。
そのような構造を理解し、親が早期に気づいて適切な対処をすれば、減らせるリスクもあるということ。
親が忙しすぎて心に余裕がなくなり、子どもの悩みを見落としてしまわないよう気を付けたいものです。
↓いいね を押していただけますと励みになります