心理学の分野で、「オキシトシン」というホルモンの研究が進んでいます。
オキシトシンには、幸福感を高めストレスを軽減する作用があるとされ、自閉症スペクトラムの患者さんに治療薬として投与されることもあるそうです。
従来は「母親の出産・授乳の際に分泌されるホルモン」と考えられていました。
次第に研究が進み、好きな人とのスキンシップ、家族との団欒、友人との会話、ペットとの触れ合いなどによっても分泌されることがわかってきました。
そのため、オキシトシンは「愛情ホルモン」と呼ばれることがあります。
いずれにせよ、血中のオキシトシン濃度を高める方法が分かると、人間関係が良くなりそうです。
オキシトシンの分泌を高める方法について、研究のサマリーをシェアします。
2019年、アメリカ、ベイラー大学のカレン・メルトン博士らを中心とした研究者は、一緒にアクティビティに参加するカップルのオキシトシンの分泌量の調査結果を発表しました。
実験では、20組のカップルを2つのグループに分け、異なるアクティビティに参加してもらいました。
一方のグループは、ほとんど未経験の絵画教室に参加しました。
もう一方のグループは、馴染みのある(モノポリーのような)ボードゲームに参加しました。
両方のグループともに、アクティビティの前後でオキシトシン濃度を測定しました。
結果、次のようなことがわかりました。
1、すべてのカップルが、一緒にアクティビティを行うことでオキシトシンの分泌量が増加しました。
2、絵画教室に参加した男性は、他のグループに比べて2倍のオキシトシンを分泌していました。
3、その一方、ボードゲームに参加した男性は、他と比べてオキシトシンの分泌量が最も少なくなりました。
絵画教室は、カップルのデート先として一般的ではないにもかかわらず、なぜこのようなことが起こったのでしょう?
実は、慣れているアクティビティよりも、未知の新しい経験の方が、オキシトシンの分泌量が高まるのです。
また絵画教室に参加していたカップルは、絵を描きながらパートナーに腕を回したり、「上手だね」と褒めたり、一緒に対話したりして、絆を深めていました。
オキシトシンの分泌を高めるには、一緒に食事をする、散歩をする、子どもと一緒に宿題をする、ソファで一緒にiPadを見るなど、小さくても意味のある交流方法を見つけることが大切です。
出典:Journal of Marriage and Family
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jomf.12556
オキシトシンを分泌するには、些細なことでも構わないので側に居て、相手のことを話し、一緒に楽しめばよいということ。
そしてそのやり方は、人それぞれでOKということです。
また、定番デートよりも、馴染みのない新規の体験の方がオキシトシンの分泌が高まるとは意外でした。
定番の子どもとの外出が次第にマンネリ化していくのも、これでうなづけます。
飽きられない工夫と努力って、相手が誰であろうと必要ですね。
以前子どもが小さい頃、ディズニーランドが大好きで毎年行っていたことを思い出しました。
子どもは夢の国で大はしゃぎでしたが、あの時、脳内にはオキシトシンがバシャバシャ溢れ出ていたのかもしれません。
オキシトシンを分泌させる方法は様々だけど、子どもを幸せにしたければ、やはり子どものために時間を作らなくてはならないということ。
大変ですが、子どもの幸福感やストレス軽減につながるなら頑張ります。
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